2019.2.21

<1>舌がんの患者さんに関わった経験を持つ歯科医師が、堀ちえみさんの「舌がん公表」ブログを読んで思うこと

タレントの堀ちえみさんが舌がんを公表されました。今回のご決断はとても勇気のいることだったと思います。手術の成功を心よりお祈り申し上げます。

私は開業前に信州大学歯科口腔外科に勤務していました。舌がんの患者さんもたくさん見てきました。堀ちえみさんの症状と同様の患者さんに関わってきた歯科医として感じるのは、かかりつけ歯科医院での対応です。

私たち歯科医にとって、口腔がんを早期に見つけることも大切な役割であると再認識させられました。

以下長文ですが、だいじなことですのでお付き合いください。

舌がんなど頭頚部(頭から首の範囲)のがんは闘病が大変です。特にお口の中のがんは大変です。お口の中は微細なセンサーだらけです。細かい動きをもしています。お口の中に髪の毛 1 本入っただけですぐ違和感に気づきますよね。

お口は、そのくらいとても敏感な器官です。

発音や咀嚼(食事を噛み砕くこと)、嚥下(飲み込むこと)をするために微細な動きをしています。日常生活の、重要で基本になる機能の多くが、お口集まっているのです。

堀さんは舌がんステージ4ということで、舌の半分以上と、転移した首のリンパ節の腫瘍を切除、切除した部分には他部位から血管を付けた皮膚を切り取ってきて移植し、血管をつなぐという大手術となります。発音、嚥下、咀嚼に障害が残る可能性は避けられないかもしれません。

堀さんのブログによれば、昨年夏から 11月になってもよくならない口内炎に対して、歯科で「レーザーで焼く」という治療が行われています。

口内炎に対するレーザー治療は、粘膜細胞の治癒力の活性化を目的としていると理解しています(レーザーの作用、効果は、まだはっきりわかっていないことも多いのが現状です)。

ですから、炎症症状がごく軽度の口内炎に効果があると考えられ、炎症症状が強い口内炎にレーザー照射すると、かえって炎症を強くすることにつながります。

加えて、約 3ヶ月間経過した病変であれば、周囲に硬結(固い部分)ができてきていたり、リンパ節に炎症所見があったり、「本当に口内炎なの?」と感じる見ための違和感などがあったかもしれません。

ケースバイケースですし、結果論で述べるのはフェアではありませんが、堀さんのケースから学べることは、口腔外科を経験していない歯科医であっても、口腔がんに関する基礎知識、兆候、そして対処法に関して認識しておく必要があるのではないかということです。

日常診療ではめったに遭遇しないケースに対しての知識、認識が患者さんの運命を大きく変えてしまうことがあることを自覚し、改めて気を引き締めました。

当院でも、長期間治らない口内炎や、治りの悪い口内炎症状、見た目の違和感に対して注意をしてきました。

基本的な兆候を確認しつつ、経験からの直感によって早めに専門機関をご紹介して、細胞検査をしていただくようにしています。

結果が問題なければそれでよし。万が一がんであれば、早めに見つかってよかった!となります。

私はそう心がけて診療しております。(2へ続く)

たんぽぽ歯科クリニック
院長 小塚一芳

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