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2019.04.18 院長ブログ

僕たちにできることは何だろう

闘病しながら来院してくださっていたAさんの訃報が届きました。知人の方のお話によれば、病室には歯のセルフケア道具が色々置いてあり、入院中も歯を大事にされていたそうです。

「最後までしっかりごはんが食べられたようですよ」

歯科医療に従事する者として、これほどうれしいことはありません。Aさんのご冥福をお祈りするとともに、最後までご自身でお口の健康を守られたAさんに心から敬意を表したいと思います。

一生自分の歯で「おいしく・楽しく・幸せに」過ごしてほしい。

これはたんぽぽ歯科の願いであり、僕たちが目指している歯科医療の在り方です。
食事は人間にとって最後の楽しみです。Aさんがその楽しみを最後の最後までまっとうできたのは、ご本人の努力にほかなりません。単なる定期管理だけでは叶わない望みです。

訃報を伝えてくださった知人のBさんも当院の患者さんです。治療プランをご提示した際、Bさんからこんなご相談を受けました。

「わたしも70歳になりました。この先、健康な状態で85歳まで生きたいと思っています。わたしの歯があと15年もつ治療はできるでしょうか」

Bさんの言葉が胸に刺さりました。治療プランを立てるとき、僕はいつでも「できるだけ長く歯を残すにはどうしたらいいか」を真剣に考えます。おひとりの治療プランに、長い時は5時間以上かかることもあります。要領が悪いと言われますが、僕たちにできる最善の診療をするために自由診療に切り替えたのです。

「この治療プランだったら大丈夫ですよ」とお答えしたところ、Bさんは「がんになったときのために貯めておいたお金を歯の治療に使うことにします」とおっしゃいました。

人それぞれ大事にするものは違います。人生の優先順位も人によります。お口の健康に価値を置き、大切な時間とお金を費やす覚悟をしてくださった患者さんには、僕たちも全身全霊で向き合う覚悟をもって日々の診療をしています。

Aさんのメインテナンスを担当していた歯科衛生士の加々見は、Aさんの訃報に接し、泣きながら言いました。

「Aさんが最後までおいしくご飯を食べられていたことを聞けて本当に良かったです。Aさんが大好きだったたんぽぽをもっと素敵な医院にできるように、頑張ってやっていきたいと思います」

Aさん、長い間ありがとうございました。Aさんからいただいた勇気を糧に、僕たちにできる歯科医療を追及していきたいと思います。どうぞ安らかにお眠りください。

たんぽぽ歯科クリニック
院長 小塚一芳

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